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競馬予想会社ワンテイカー ◆懐かしい名馬名シーン 名馬コラム連載中◆

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当社スタッフの若手ホープが、名馬との出会いやレースの醍醐味などをコラムとして連載していきます。競馬通の皆様には懐かしいレースの名場面や名馬を共感していただけるでしょう。競馬初心者の皆様には、競馬の面白さを少しでも知っていただければと思います。

第一章 「名馬との出会い」 --◇グラスワンダー◇--

最初にこの馬を知ったのは、デビュー3戦目の頃だったと思う。当時私はスピードワールドが好きで、ワールドの強さを語っていた。ある日、知人から「まだ2才馬だけどとんでもない怪物がいる」と聞かされた。それが、グラスワンダーだった。とりあえずその名前を意識しつつ、半信半疑で京王杯2才ステークスのTV中継を見ていた。「おお〜〜!!」あまりの強さに度肝を抜かれた。その時の衝撃は言葉にできない。あの的場騎手が興奮しながらインタビューに答えている姿を、今でもはっきりと覚えている。この馬がどれだけ強くなるのか驚異を感じてはいたが、まさか自分の競馬の価値観までもが変わるとは思ってもいなかった。

暮れのG1(当時、朝日杯3才ステークス)、この時世間はグラスがどのような勝ち方をするのか、その一点に集中していた。グラスがどんな勇姿を見せてくれるのか、私自信、期待と緊張と興奮の中にいた。馬場に入るグラスを見た瞬間、これが本当に2才馬かと目を疑がった。これだけの観衆がいるのにもかかわらず、入れこむことなく、すでに王者の風格を示していた。レースはまだ始まってもいない。だが、私はその姿に「何かアクシデントがない限り独走するな」と直感した。目は自然とグラスばかりを追っていた。
いよいよ発走!スタートはいい感じで出た。的場騎手はどこでゴーサインを出すのか・・ いよいよ第4コーナーに差しかかった。ここでゴーサイン!瞬間、すごい勢いで多馬をねじ伏せるような激走で上がっていく! 正直、ここは少し不安を感じた。「これで大丈夫なのか?直線で止まらないといいが・・」余計な心配が頭を過ぎる。が、その勢いは衰えることなくゴール!レースはグラスの横綱相撲で幕を閉じた。しかも、あのマルゼンスキーのレコードまでも更新するというおまけ付きで。
レースが終わった後もすました顔をしながら、勝って当然のようなさりげなく堂々とした姿に見惚れた。「いや〜〜いいものを見たな〜 こんな馬はそうそう出て来ないだろう」この時馬券のことなど頭から消滅していた。無条件で馬に惚れ込む。こういうこともあるものだ。

府中競馬場 年が明けて衝撃のニュースが飛び込んできた。グラスが骨折したのだ。全治3〜4ヶ月の軽い骨折ではあったが、明け3才のこの時期に休む事は、致命傷とも言えるだろう。そのまま終わって行く馬もかなり見てきた。正直この骨折は痛い。「いくらグラスでもなあ・・・ 引退だけはしてほしくないなあ・・」 不安にならずにはいられない事態だった。だが、「ここは・・・グラスなら!」という信じるような、祈るような想いで復帰を待った。

そして迎えた秋。いよいよグラスの復帰レースが決まった。「毎日王冠」だ。このレースのメンバーを見た時「これはいくら何でも勝つのは無理だろう」と、私だけではなく、誰もが思ったことだろう。サイレンススズカ、加えて同期のエルコンドルパサーもいた。一方グラスは、復帰はしたものの、陣営のコメント・調教の動きを見る限り、完調にはほど遠い出来だった。「これは惨敗もあるか・・」という諦めを感じたことは否めない。
案の定、グラスは直線を向いて早々後退し、5着でゴールした。「まあ、仕方ないだろう・・・ いくら何でも骨折明けであのメンバー、勝てるわけないよな」知人にこう話しながら、何処かで自分に言い聞かせていた。

そしてアルゼンチン共和国杯。「どうしてもグラスを一目見たい」という想いが、府中競馬場に足を運ばせた。レース前、今回は余裕で勝つだろうと信じながら、パドックに出てきたグラスを見て愕然とした。「グラスってこんな馬だったっけ?」「なんかオーラがないよな」知人が言った言葉を否定できなかった。だが、私は、それでも勝つと信じたかった。そして、その日の馬券はグラスから買った。

消えない不安を抱えながら、レースは始まった。自然に手足に力が入り、汗がにじみ出る。最後の直線でのグラスの姿に、待っていた光を見た。「これは楽勝だ!的場騎手の手綱は持ったままだ!よ〜し!」さっきとは違う意味での力が入る。「突き放せ!!」と思った瞬間だった。いざ追い出すと、グラスはずるずると後退したのである。結果は6着・・・ 私は10分ぐらいその場にボーゼントと立ち尽くした。やっと回りの声が耳に入ってきたとき、「やっぱりグラスは早熟だったんじゃないか〜?」ざわめきの中にそんな声が聞こえて来た。私も、この時ばかりは「よくあるマル外の早熟タイプの馬だったのかな・・・」と失恋でもしたような脱力感で、知人の誘いも断り、夕飯もそこそこに家路についた。

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